@article{oai:ouj.repo.nii.ac.jp:00008701, author = {島内, 裕子 and SHIMAUCHI, Yuko}, journal = {放送大学研究年報, Journal of The Open University of Japan}, month = {Mar}, note = {『つれづれの讃』は、各務支考(一六六五〜一七三一)による『徒然草』の全段にわ たる評論書である。宝永八年(一七一一)に自ら跋文を記しているので、その頃の刊行 であることが知られる。支考は、松尾芭蕉の弟子であり、「蕉門十哲」の一人である。 芭蕉の遺文を刊行するほか、支考は独自の視点による俳論書も数多く残している。  支考の『つれづれの讃』は、これまでの文学史研究においては、『徒然草』の注釈書 という位置づけをされてきた。ただし、『徒然草』の原文に出てくる人名や地名、難語 や歴史上の出来事などを解説する、一般的な注釈書の範疇には入らない。支考は、諷 詞・褒貶・あやかし・断絶・虚実・変化など、十三項目の自分自身の批評基準によっ て、『徒然草』を冒頭部から順に論評した。その際に、江戸時代初期から広く世間に通 行していた『徒然草』の章段区分を、大きく四十九の区分に分割し直した。  支考が『つれづれの讃』によって示した、このような『徒然草』の読み方は、儒教や 仏教や老荘思想などのどれが、兼好の中心思想であるかを究めようとしてきた、従来の 注釈態度を離れて、『徒然草』の文章法の変化に力点を置く新しい読み方であった。  そこから、支考は『徒然草』の文体や表現に、完成度の高い散文小品の可能性を見て 取った。『徒然草』と向き合い、思想の変化と展開性を把握する読み方を提示したこと が、連句の付け合いの展開性を明確に分類する方法論へと発展したと考えられる。さら に支考は、『本朝文鑑』(一七一八年刊)や『和漢文操』(一七二七年刊)などの俳文撰 集を纏めている。『つれづれの讃』は、数々の俳諧理論書の執筆や、複数の俳文集の編 纂など、支考自身の文学活動の方向性に、大いに裨益したことを論じた。}, pages = {114--103}, title = {各務支考『つれづれの讃』にみる『徒然草』の新しい読み方}, volume = {39}, year = {2022}, yomi = {シマウチ, ユウコ} }